オタクとギャル

「今、いいレコード聴いてるから無理。」

高校の時の思い出として聞いた話なのだが、後輩が私に「遊びに出かけないか?」と誘いの電話をかけた時、私はこう言って断ったらしい。

オタク種 ギャル種。

世の中は大きく分けて この2つの人種がいると思っている。

 ここでオタクとは、ギャルとは何かの定義を検索した結果こんなことが書いてあった。

ギャル:女の子。 若い女性。 特に、明るく社交的で、流行のファッションを取り入れるなどの行動を通じ、感覚を共有しようとする女性についていう (コトバンクより)

オタク(おたく、お宅)とは、自分の好きな事柄や興味のある分野に傾倒しすぎる人への呼称。ある物事へ一般人よりはるかに熱中している人・詳しい人のことである。(ニコニコ大百科より)

ちなみに私の中の定義はこうだ。

オタク種: 推し(自分の好きな事、または人物)への費やす時間が何よりの幸せ。

他人がそんな自分をどう思おうが割とどうでもいい。(というか1人にしてくれとさえ思う時がある)

推しと自分の関係に集中しすぎるあまり自分のルックス、流行のファッションやメイクなどとは疎遠になりがち。

大きなパーティやクラブや交流会など、よく知らない不特定多数の人が集まる中にいるとすごく疲れる。

なんとなく誰とでも仲良くの人付き合いが得意でない。

推しの事を理解してくれる人と出会うと、水を得た魚のようにいきいきと話し出す。

ギャル種: 人との繋がりが大事。社交的。

自分が人からどう見られているかが気になるので流行に敏感で自分のルックスにも気を遣う。恋愛も友達作りも活発に出来る。

誰とでも気兼ねなく話せ、中身の無い内容でもその場限りでも楽しく盛り上がることが出来る能力の持ち主。

この私の定義の場合 ギャルといっても女性だけとは限らない。

男性も高齢者もおネエも入る。見た目がギャルとかそういうものでもない。

というわけで私は前者の生粋のオタク系である。

ここがまず割と誤解されている事が多く、私はなぜか色々なところに出没して社交的であるギャルタイプだと思われがちだ。

私も大人なので、1度仕事のスイッチが入れば色々なところへも行くし、仕事で話せとなればそれなりに誰とでも話せる。

ただ、プライベートの時間はとにかく家にこもりたいし、仕事が終わったら1秒でも早く家につきたいし、そんな貴重なプライベートの時間にクラブや本当に中の良い友達以外の飲み会に来いと言われたら時給5000円以上出してくれないと行くきにもならない。でも多分時給5000円もらったら嬉しくて無理やりでもなくニヤニヤしていると思う。ただ、無給で(時には自分のお金も出して)こんなところに行ったしまったら冗談でなく心も身体も本当に疲れてしまう。

私の中で世の中にこのギャル種とオタク種がいるとわかった(少なくとも自分の中でカテゴライズ出来た)だけで本当に心が楽になった。

それが分かり始めたのはある程度歳をとってからの事、

若いうちはそれなりに人に合わせたりもして、頑張ってし 沢山人がいる場所にも行ってそれなりに仲良くしようとしていた。その結果、情緒が不安定になった時もあった。

でもギャル種から見れば交流に誘うのが彼らのやさしさの表現なので決して悪いわけではないと言うのもわかる。好意的な表現なのだ。気持ちは感謝している。自分の気の乗らない誘いでもこの人はギャル種だからからこういう事を親切にしてくれてるんだなと、とりあえず感謝もできるようになる。

でも自分がオタク種とわかって、その交流に参加すると精神的に疲れると知った時からちゃんとお誘いを断れるようになった。

自分の身の守り方がわかるだけでもかなり気持ちが楽になる。

話はちょっと脱線するが、といってもこんな集いはオタクは大好きなんだ!ともろ分かってる歌がクレージーケンバンドから出ていた。

アメ車と夜と本牧と

歌詞抜粋

♪YOKOSUKA KAWASAKI SAGAMIHARA FUSSA
SEYAにZAMA ATSUGI
いろんな街からいろんなアメ車が ブンブンブブンブン
誰もが自分のクルマの事しか興味がないから
週末の夜は自分と自分のお祭りなのさ
Night For V8 Monsters♪

どんなに集まってても結局みんな自分と自分の推しにしか興味がない

そうそう、よく言ってくれたよ横山剣!

そうなんだ

アイドルオタクだとしても、コンサートには人が大勢いるようでいて

中身は一人一人のオタクと推しの1対1の集合体、推しと個人個人のお祭りなんだよ。 結局コンサートはいっぱいいるようで個人個人の集合体なだけ やはりそこもオタク種なのだ

そんなある時、メルボルンは世界一長いロックダウンに入った。

内容としては

1日1回 5キロ圏内 1時間のみのエクササイズ 必要不可欠な医療や食品の買い物以外での外出禁止家族以外の人と会うの禁止

オタク種からしたら毎日誰にも邪魔されず推しに全ての時間を費やしても世間的に許される人生のボーナスタイムである。

このロックダウンではっきりオタク種とギャル種の違いが表れた。

オタク種の方々は自分の推しに費やす時間が多くなり、いい意味で家の中でいそがしそうで生き生きとしていた。

ギャル種の方々は人と実際に繋がれないため、かなり苦しそうだった。

私といえば 散歩中推しの雑草を探したり、フィルムカメラでで写真を撮ったり、着物や帯と戯れたり、本を読んだりと毎日この上ない充実感を味わっていた。 経済的な見通しや先行きの不安などはあったと思うのだが、それすらも忘れてしまうほどの心の中の安らぎの場所に初めてゆっくりと足を踏み入れた気持ちがした。

そうだ、今までは仕事に終われ 色々な雑音に誤魔化され、30年間放っておいた

「今、いいレコード聴いてるから無理。」と言い放った自分の中のオタ子とこれほどまで向き合える時間が老後を待たずに来たことは自分の人生の中での大きな転換期となった。

自分の中で疲れると言うのは育児や仕事の量だと思っていたが、実は自分を疲れさせていたのは 自分の気持ちを無視しての集まりや仲良くしなければいけないという協調的な圧力やみんなで頑張ろうとなってる雰囲気の中での同じ波長で頑張れない自分への自己嫌悪だったことがわかったのだ。

これが気持ちが分かってからセミナーや講演会、交流会なども行くのをやめてしまった。

そんな!その場に行ってこそ得るものもあるだろ?

それもごもっともかもしれないがそれ以上感じていた、その場の熱気に無理やり自分を持っていかなければという心の疲れにこのロックダウンで気付かされてしまってはもうその気持ちを無視することは出来ない。

ちなみに私の気持ちを代弁してくれている私より説明が上手い方のブログも見つけてしまった。https://www.yutanosaka.com/entry/kouenkai-nigate

尊敬する人の話はその方のブログや本を読めばその人が一対一で語ってくれる。それでいい。それで十分だ。

誤解しないでほしいのだが、人と会うのが嫌いでは決してない。仕事モードに切り替えれば大人数も集まりも大丈夫だしプライベートも自分の好きなものについて語り合える方、私がオタ系と熟知してくれている昔からの仲間、2.3人でフフフとひっそりと笑い合える仲間と話すのは大好きなのだ。

オタ系の方は理解していただけると思うのが、例えば「着物」1つとってもかなりジャンルはかなり細分化しているので、「あの人は着物好きだからこの方と繋がったら良いと思うで紹介しますわ」という優しいギャル系の方からの親切も実は全然違うジャンルが好きだったりして、洋服で言ったら服が好きだから仲良くしなよとシャネル系とギャルそん系とゴスロリ系とスケーター系をいきなり紹介されてもでも仲良くしなければならないというプレッシャーだけが残り、話すこともなく、でも親切で言ってくれてるのも重々理解しているのでこれが本当に困っちゃう時も実はあるんです。

大丈夫です。オタクは放っておいてくれても自分と似た匂いがする場所は光に集まる蛾のように自分の力で寄っていくんです。

なので今まで私のようにモヤモヤしていた方がいましたら、もしかしたらあなたは私と同じオタク種かもしれません。

大丈夫です。オタク種でも生きやすい世の中になって来てます。というかいつの間にか昭和にはネガティブなイメージだった「オタク」という言葉も今では1つのことに長けているポジティブなイメージに変わってません?

あなたに合ったオタク友もインターネットのおかげで世界中から探せる世の中です。別に友も今の時代 人間でなければなんてこともありません。

あなたのオタ人生が楽しいものでありますように・・。