通常ですと毎年この頃は毎週水曜日、メルボルンの有名縁日的な”Queen Victoria Night Market”に着物のポップアップショップを出して、お店に来ていただいたお客様に着物を着るのを体験していただいているのですが、
今年はコロナの影響でそちらも無くなってしまいました。残念ですが仕方ありません。
うちに来るお客様の大半は人生において着物をトラディショナルに着たことがないお客様ばかりで、着物の知識もほとんど無いに等しい方がほとんどです。 本当に知らない方だと
「これは何だ?」『Kimonoだよ』
「Kimonoって何だ?」『日本の伝統的な服なんだよ』
「へー!」って方もいらっしゃいます。
そんなところで着物を売っているのでもう日本ではあり得へん質問も多々投げかけられる感じでやっております。
その中でもよく受ける代表的な質問集
Q.着物着た女性のことをGeishaって言うんでしょ?
A.違いますよ、日本では着物を着た女性のことを「着物を着た女性」と言いますよ。
Q, 昔は日本で女性は着物着てたんだろ?その頃男は何着てたんだ?
A. 着物だよ。
Q.なんでこんなに長いの?日本人は背が低いのに
A. 日本では女性の着物は腰のところで紐で結んで長さを調節して着るために長いんです。
Q. あの着物着てる人の背中についてる四角いクッションみたいのは何のためだ?
A. お太鼓結びという帯の結び方なんです。背中を守るためではありませんよ。
こんなのがよく聞かれる質問です。
あまりに日本ではあり得ない質問が多いので逆に「あぁそう見えているんだなぁ」と色々勉強になってます。
ほとんどの人は着物っていうのはわかってもらえてるんです。それで「私着物大好き!」ってな感じで色々質問してくださります。質問がトンチンカンだとしても、たくさんの方に着物や日本が大好きと言ってもらえてここで着物屋をやっていてつくづく幸せだなぁと思います。 ほとんどの方は着物は家のナイトローブに、帯は部屋の飾りとして買っていかれるので、まぁ郷に入っては郷に従えでこの国なりのやり方で着物を楽しんでいただければ嬉しいと思っております。
やはり自分の国のものにちょとでも興味を持ってもらえたり「美しい」と言っていただけるのは本当に日本人として嬉しいですね。
そんな中で、 実はちょっとどころか最強に着物のことを美しい!と知ってくださってる、しかもそれをどんどんいろんな国に発信してくださってる最強な人たちがいるんです!
そんなすごい方々を今日は紹介したいと思います。
まずはAnji、日本在住ドイツ人
彼女のインスタをまず見てもらいたい!
https://www.instagram.com/salztokyo/
彼女のすごいところは日本人の現代の保守的な着物のやり方もちゃんとわかってるけど、海外からアンジーの着物スタイリングを求めてやって来る人にもちゃんとオリジナリティー溢れる表現が出来てる事。海外から来られる方って普段日本で着物を着てる人からすればあり得へん要望って事もたくさん起こるはず。でもその中で柔軟に対応しながらちゃんと彼女のスタイリングの特色を出してるところ。これって実はメチャクチャむずかしいんだよ!
次にSheila、日本在住イギリス人の着物研究家です。
https://www.instagram.com/kimonosheila/
まず彼女の着物文化の知識は半端ではない。本も出版されて日本 で講義もされています。
とにかく知識が半端じゃないです!!
こちらはシエラ自身のスタイリング本、サインもらっちゃった🎶
着物の知識がありすぎる着物愛好家は割と守りに入る着こなし傾向にありますが、彼女は絶対守りに入らない!それどころか新しい事にどんどんチャレンジしていってる。ずっと攻め続けている!私より年上だけどとってもチャーミングで着物の着姿も可愛い。
彼女の持っているそのアートセンスは日本とイギリスで培われたものなのでしょうか?
次にBilly、日本在住のドイツ人です。
https://www.instagram.com/biriinyan/
チェックしてもらいたいのは彼女のYoutube チャンネル。
https://www.youtube.com/c/BillyMatsunaga/featured
着物の知識を英語でも日本語でもとってもわかりやすく創意工夫にあふれた形で紹介してくださってます。 日本語の着物チャンネルで詳しい着物情報が学べるものは数あれど、着物の決まりと現代アレンジをここまで分かっていながら、こんなにも詳しく情報を日本語と英語で紹介しているのは彼女のチャンネルだけではないだろうか?
全て役に立つ情報ばかりです。
日本人で着物好きさんだったら彼女の英語動画見たら絶対英語も勉強できやすいと思うので是非英語勉強にもなるこのチャンネル見てください!
そしてイギリス在住のイギリス人Tia
https://www.instagram.com/tia_oguri/
個人的に黒人の方の着物姿を見るのが大好きな私なので、彼女のスタイリングと着物姿を見るのをいつも楽しみにしています。
最近発表された彼女の浴衣コレクションも彼女の独自性がそのまま生かされててすごい素敵なんです!
https://www.instagram.com/uberdandykimono/
彼女のバックグラウンドから影響された独自性溢れるクリエーションとクールなAttitudeが見事にマリアージュしてて彼女にしか創ることの出来ない世界観。クロスカルチャーファッションとは正にこのことだ!と思い知らされます。彼女の最近の浴衣コレクションUber Dandy Kimonoも要チェックです!
そしてポーランド在住Anna、
https://www.instagram.com/kimonoteka/
ポーランド語での着物本も出されています。
本出すまでに研究したことは数知れずだっただろうなぁ・・。
ちなみにBilly のyoutube チャンネルにこの前 Tia とAnneと私とBillyでイギリス、ポーランド、日本、オーストラリアを結んで生中継でライブトークをやらせていただきました。すごい時代になりましたね。
この素晴らしい方々全てに思うのは、きっと私のようなただ普通に日本で産まれちゃった日本人よりも人一倍いろんな努力をしたり、どーでも良いような誤解に苦労したり、思いもよらない見当違いなコメントなども沢山受けてきたのではないかと思うのです。
逆を言えヨーロッパで活躍してる日本人ソムリエさんがいたとして、文化の違う場所で頑張るためにはヨーロッパ人以上の努力をしないと周りに認められないと思うですよね。多分「お前には俺らの文化はわからない!」なんて言われたら私はそんなことはない、この人はその分努力してるんだ!って思ってしまうわけですよ。
私は日本人でなければ着物の事理解できないなんて1ミリも思わないし、彼女たちの努力と前向きな姿勢には本当に頭の下がる思いです。
あと私の個人的に思うところのある
「文化の盗用(Cultunal appropriation )」という言葉ね。
私は洋服を着ていて「他の文化の盗用するな」と言われた事がない。日本人以外の人が着物を着て文化の盗用と言われるなら私のような者が洋服を着ていても「文化の盗用」になるのではないか?それとも洋服だけが許可のいらない特別な衣服で他のものが違うというのなら、その考えこそが差別ではないか?と思ってしまうわけです。
どんな衣服でもそりゃ服装のマナーやドレスコードはあります。それはその場所に応じた適切な格好をするという事であって「どの国の誰が」というのはまた別の話だと思うんです。それ以上にその文化に敬意を示してくださって発信してくださってる面に目を向けたい!
私は素晴らしい着物文化を紹介してくださってるこの方々にありがとうと言いたいです。
ありがとーーーーー!!!
という訳で、外でも内でも着物は着物でした。